ツイッターはこの件で騒然となっております。こちらで動画を解析し、ツイッターで連投しましたが、文量が多いので、こちらでまとめ直します。
【目次】
- (1)問題の動画
- (2)拳銃発射の瞬間
- (2)出血
- (3)名前は曹志健
- (4)当たったのは胸ではなく鎖骨周辺
- (5)動けないけど目はハッキリと動いている
- (6)腹部が動いているので呼吸はシッカリしている
- (7)別角度で撮影されていた動画
- (8)BBCが入手した映像の分析
(1)問題の動画
▲FBに上がっているものが一番鮮明ですので、こちらを参考にしました。
(2)拳銃発射の瞬間
▲こちらが拳銃発射の瞬間。黒い服の高校生が60cm足らずの白い棒(材質は不明)で警官に殴りかかり、拳銃を持った腕の袖をかすった後に警官が撃ちます。
(2)出血
▲服の上にドクドクと血が流れるのが見えます。
(3)名前は曹志健
▲ただし、漢字が正しいかは不明のようです。自分で名乗れるぐらいなので、意識は確かなようです。報道によれば高校2年だそうです。
(4)当たったのは胸ではなく鎖骨周辺
▲倒れた状態で服を脱がせ、酸素吸入しながら応急処置をしております。
▲被弾した箇所のアップを見るに、これは胸ではなく鎖骨の下あたり?みたいです。
(5)動けないけど目はハッキリと動いている
▲動画で目の動きをみるに、意識はシッカリしているようです。
(6)腹部が動いているので呼吸はシッカリしている
【動画】警官に撃たれた高校生の腹部をよく見ると、呼吸で動いているのがわかります。#antiELAB#香港反送中pic.twitter.com/QuhtwnkzVN
— 黒色中国 (@bci_) 2019年10月1日
▲お腹の動きを見るに、呼吸はかなり大きいように見えます。
▲救急車がかけつけて、タンカにのせるところ。
拳銃弾が当たっているので重体には違いありませんが、とりあえず意識はハッキリしているようです。
(7)別角度で撮影されていた動画
He absolutely shot with personal purpose!!! pic.twitter.com/8R3B5TmZa7
— Chris Wong (@ChrisWo54307020) 2019年10月1日
▲こちらの動画で見ると、かなり騒然とした状況が見えてきました。
▲わかりにくいですが、抗議者がたくさん集まっているのは、画面中央付近に警官が倒れているからです(破線)。それを救出するために駆けつけるのが拳銃を持った警官(実線)
▲救出にかけつけた警官を白い棒で殴ろうとするところで銃を向けています。棒はシャツの袖をかすっただけで、その後で拳銃を発射。
▲抗議者が一斉に逃げ出しますが、撃たれた高校生は後ずさり、路上にかがみ込んでいた警官(破線)にひっかかって転びます(破線左側)。
▲路上にかがみ込んでいた警官はすぐさま逃げ出し(破線)、次は撃たれた高校生を救出するために黄色いヘルメットの抗議者が近寄るも取り押さえられます。
▲黄色いヘルメットの抗議者の取り押さえに成功したと思いきや、また警官が銃を向けます(破線)、少し離れた電灯の柱?あたりに火炎瓶を持った男が駆け寄ってきたからです。
▲火炎瓶を銃を持った警官に当てると、負傷した仲間も巻き添えになると思ったのか、少し後方に投げて、炎上します。
【香港警察 18歳の男子生徒に発砲と発表 自衛のためと釈明も】
— 黒色中国 (@bci_) 2019年10月1日
男子生徒は病院に運ばれた時には意識はあったということです。現在の状況は明らかになっていません。
警察は今回の発砲について「自分の命と仲間の命を守るために発砲した」として、自衛のための発砲だったと釈明https://t.co/jJzOg2ft6Fpic.twitter.com/U2afo4s7CI
▲高校生を撃った警官は、「自分の命と仲間の命を守るために発砲した」と言っているようですが、威嚇射撃なしというのはどうなのか。威嚇射撃をしていれば、その時点で抗議者は逃げ出していたかも知れません。実際、射撃の直後に逃げ出しているのですから。この点、判断が難しいように思います。
(8)BBCが入手した映像の分析
▲BBC中文版が公開している記事の中の動画が最も鮮明でわかりやすかったので、改めて解説いたしますと
▲盾を持った警官が抗議者に追いかけられているところからスタート。
▲盾を持った警官は抗議者の一人に捕まって、路上に押し付けられ、続々と仲間が集まってきます。
▲この時、すぐそば(右)に警官がいたのですが、抗議者は転倒した警官に集中して、気付いていない?みたいです。赤線で囲んだ警官の存在をよく覚えておいてください。
▲そして転倒した警官を袋叩きに。この左手に青い盾を持っているのが、後で警官に撃たれる曹志健君です。
▲たぶん、中央と右の抗議者が使っているのは鉄パイプかな。左の曹志健君が持っているのは、細めの棒で、これが鉄パイプかは不明。
▲寄ってたかって警官に暴行していますが、よくみるとカナヅチで殴りかかっている人もいます。非常に危険な状態だったわけです。
▲この時、曹志健君が少し遠くを見ているのがわかります。
拳銃を持った警官が接近するのを目撃したからです。
▲拳銃を持った警官は、転倒して袋叩きにされている警官を助けるために近づいて来たのですが、最初から拳銃を抗議者に向けて構え、威嚇射撃などは一切する様子もありません。仲間を撃たれたら大変だ!とばかりに曹志健君が拳銃を持った警官に近寄って行きます。
▲曹志健君の接近に気づく警官。曹志健君は透明のマスクをした抗議者の後ろにいるので見えません。ちょっとだけ曹志健君の持つ棒が見えますが、これは右手に持った棒をバックハンドで振りかぶった瞬間。この位置でなぜバックハンドで棒を構えるのか、その意味をよく考えてください。
▲たぶん、曹志健君は仲間に向けられた拳銃を払うために、棒をバックハンドに構えたものと考えられます。しかし、突如警官が曹志健君に拳銃を向けたため、間合いが近くなりすぎました。
▲曹志健君の棒は警官のシャツの肘あたりを虚しくかすめてヒットせず。そして警官が曹志健君に向けた拳銃を撃ちます。
この状況から判断すると…
- 仲間を助けるためとはいえ、なぜ警官は威嚇射撃をせずに最初から抗議者に拳銃を向けたのか…という疑問。
- この時点で、拳銃を持った警官の身には危険は及んでいないので、拳銃使用は自衛目的にはならない。
- 曹志健君は仲間に拳銃を向ける警官をみつけ、仲間を助けるために警官へ接近。
- 曹志健君は、仲間に向けられている拳銃を振り払うつもりで棒を振った。
- 曹志健君の攻撃は不発に終わるが、警官は曹志健君に向けて引き金を引く。
なので、最初から警官は撃つ気マンマンで、乱闘に近づき、それを阻止されそうになって、曹志健君を撃った…ということになります。
袋叩きにされている警官を助けるため…とはいえど、かなり乱暴すぎる対応だったのは否めない。そしてあの乱闘の中で拳銃を撃てば、仲間の警官に当たっていたかも知れない。曹志健君は、それを止めるために立ち向かったのであり、何もしてない警官に襲いかかったのではありません。

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