▲ごま団子は日本でもよく知られた点心である。中国語で「芝麻球」(ジーマーチュウ)という。名前を直訳すれば「ゴマタマ」ということだが、中に甘いアンコが入っている。
口に含むと、表面の香ばしいゴマ⇒モチモチの皮⇒甘いアンコ…という順番で快楽が展開するわけだが、こういう「香り」「食感」「味」を巧みに組み合わせる中国人の才能は本当にスゴいと思う。
▲これは確か、葱油餅の大きいやつではなかったかな…。写真を見ればわかるように、これは4分の1に切ってあるけれど、本来は大きな円形である。大きな平底の鉄鍋に油をタップリいれて、大きなピザ生地みたいなのを揚げるようにして焼くとこうなる。
「生煎饅頭」とは?
▲大きな平底の鉄鍋とはこういうもの。
こちらでは餃子と生煎饅頭(ションジェンマントウ)を焼いている。
餃子は日本でも普通にあるから説明不要だけど、この丸っこくて黒ゴマがかかっている「生煎饅頭」は上海の名物である。
生煎饅頭は、簡単に言えば「小ぶりの肉まん」。中に挽き肉が入っている。特徴をあげると、生煎饅頭は底の方が鍋に触れているのでカリッと焼きあがるけれど、上の方はふっくらとして、黒ゴマやネギをふりかけている。
1つの肉まんの上と下で食感と風味を全く別のものに仕上げ、内部は挽き肉と染み出たお汁で満たされている。これもまた中国人らしい巧みな工夫の食べ物である。
私は朝の上海で、ごま団子や生煎饅頭を食べつつ、中国人にリスペクトと同時に脅威を感じる。こんなに、創意工夫に長けた人たちを、侮って軽視したり、油断してはいけないのだ…と舌鼓を打ちながらも厳しく自己を戒めるのであった。